7歳の僕には、王国があった。
場所は札幌。3階建てのログハウスの、三角屋根の部屋。
国民は僕だけ。
人口1人。
GDP、0円。
主な産業、妄想。
いや、王国は言いすぎたかもしれない。
秘密基地。うん、秘密基地のほうがしっくりくる。
僕は埼玉県朝霞市で生まれたらしい。
でも記憶にあるのは札幌だけ。
2歳で引っ越したから、朝霞の記憶は、、、
ない (^ ^)
7歳。
ここから僕の人生は始まる。
その部屋は、屋根裏と部屋の中間みたいな場所だった。
天窓がひとつだけあって、そこから光が斜めに落ちてくる。
僕はその光に手を入れるのが好きだった。
なんか、、、いい感じだった。
勇者が伝説の剣を見つける直前みたいな気持ちになれた。
木の床。
木の壁。
木の匂い。
あったかい。
外はマイナス10度。
でもあの部屋だけ、なんか違う国みたいだった。
僕だけの国。
いない (^ ^)
でも関係なかった。
だって僕には妄想があった。
僕の遊びを説明しよう。
名付けて、「設定を作る遊び」。
たとえば、部屋の隅にある木の節をじっと見つめる。
じーーーっと見つめる。
すると、だんだんそれが「魔王の目」に見えてくる。
見えてきた。
よし、勝ち。
次に、その魔王に設定を与える。
名前は「ダークネス・アイ」。
能力は「見つめた相手の心を読む」。
弱点は「光に弱い」。
設定が決まったら、天窓からの光をダークネス・アイに当てる。
心の中で叫ぶ。
「うわあああああ!!」
魔王、倒した。
世界、救った。
誰にも見られてないから確認はできないけど、、、
まあ、救ったと思う (゚o゚;;
世界、何回救ったか分からない。
誰にも感謝されたことないけど (´-`)
天窓の上に雪が積もると、部屋は薄暗くなった。
音が遠くなる。
光が白くぼやける。
世界から少しだけ、切り離される感じ。
最高だった。
なんでだろう。
なんでひとりでこんなに楽しかったんだろう。
分からない。
でも、楽しかった。それだけは覚えてる。
何もないところから、物語を作る。
ひとりで完結する、小さな宇宙。
最高の遊び場だった。
ちなみに大人になってから気づいたんだけど、
あの部屋、断熱あんまり効いてなかったっぽい。
天窓から冷気入ってきてたっぽい。
、、、え、じゃああのあったかさ、、、なに、、、(゚o゚;;
まあいいや。
木の温もりは本物だったはず。
たぶん。
うん。
今でも、木の匂いを嗅ぐと、あの部屋を思い出す。
人口1人の、最強の王国。