のけ物語
STORY LAB
第1話

幼少期編・第1話「三角屋根の秘密基地」

3分で読める ♪ 04:12

7歳の僕には、王国があった。場所は札幌。3階建てのログハウスの、三角屋根の部屋。

幼少期編・第1話「三角屋根の秘密基地」

天窓から見た空

7歳の僕には、王国があった。
場所は札幌。3階建てのログハウスの、三角屋根の部屋。

国民は僕だけ。
人口1人。
GDP、0円。
主な産業、妄想。

いや、王国は言いすぎたかもしれない。
秘密基地。うん、秘密基地のほうがしっくりくる。

僕は埼玉県朝霞市で生まれたらしい。
でも記憶にあるのは札幌だけ。
2歳で引っ越したから、朝霞の記憶は、、、
ない (^ ^)

7歳。
ここから僕の人生は始まる。

3階建て。ログハウス。天窓。

その部屋は、屋根裏と部屋の中間みたいな場所だった。
天窓がひとつだけあって、そこから光が斜めに落ちてくる。
僕はその光に手を入れるのが好きだった。

なんか、、、いい感じだった。
勇者が伝説の剣を見つける直前みたいな気持ちになれた。

木の床。
木の壁。
木の匂い。
あったかい。

外はマイナス10度。
でもあの部屋だけ、なんか違う国みたいだった。
僕だけの国。

友達?

いない (^ ^)

でも関係なかった。
だって僕には妄想があった。

僕の遊びを説明しよう。
名付けて、「設定を作る遊び」。

たとえば、部屋の隅にある木の節をじっと見つめる。
じーーーっと見つめる。
すると、だんだんそれが「魔王の目」に見えてくる。

見えてきた。
よし、勝ち。

次に、その魔王に設定を与える。
名前は「ダークネス・アイ」。
能力は「見つめた相手の心を読む」。
弱点は「光に弱い」。

(7歳の語彙力、フル稼働)

設定が決まったら、天窓からの光をダークネス・アイに当てる。
心の中で叫ぶ。
「うわあああああ!!」

魔王、倒した。
世界、救った。

誰にも見られてないから確認はできないけど、、、
まあ、救ったと思う (゚o゚;;

7歳、札幌、屋根裏。

世界、何回救ったか分からない。

誰にも感謝されたことないけど (´-`)

天窓の上に雪が積もると、部屋は薄暗くなった。
音が遠くなる。
光が白くぼやける。
世界から少しだけ、切り離される感じ。

最高だった。

なんでだろう。
なんでひとりでこんなに楽しかったんだろう。
分からない。
でも、楽しかった。それだけは覚えてる。

今思えば、あれが「創作の原点」だったのかもしれない。

何もないところから、物語を作る。
ひとりで完結する、小さな宇宙。

最高の遊び場だった。

ちなみに大人になってから気づいたんだけど、
あの部屋、断熱あんまり効いてなかったっぽい。
天窓から冷気入ってきてたっぽい。

、、、え、じゃああのあったかさ、、、なに、、、(゚o゚;;

まあいいや。
木の温もりは本物だったはず。
たぶん。
うん。

今でも、木の匂いを嗅ぐと、あの部屋を思い出す。

三角屋根の、僕だけの秘密基地。

人口1人の、最強の王国。
幼少期編・第1話「三角屋根の秘密基地」 —— 完

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